直帰

ミンユンギとごはんたべたい

ラブマイセルフなマージービート

 

■直帰です。

 

■イロ直帰ラジオが配信されました。

 

www.youtube.com

 

■配信からブログを書くまで、ずいぶん間があいてしまった。まあね、まあまあまあまあね、そういうこともあるよね。

 

■前回に引き続き、「バンタンと出会って変わったこと」を話しています。こういうパーソナルな事柄に絡めたテーマはジャンジャンお便りがくるので楽しい。あと1週だけ延長することにした。嬉しいこと!!!非常に嬉しいこと!!!!ピーヒャラピーヒャラドンドンドン!!!!もーっと送りなさい!!!!

 

 

■ラジオの途中でイロさんから出た質問がすごく面白かったので、それについて書きたかったのだ。

 

「バンタンはよく第二のビートルズといわれるけど、当時のビートルズファン達もこんな風に人生を変えられていたの?」

 

 

■もちろんリアルタイムの熱狂を肌で感じたわけではないが、ゴチゴチのビートルズファンでありポールマッカートニーのガチリアコだった私は、「ア、ビートルズは、やっぱり、アノー、グッフ」とオタクムーヴを発動させながら5万字ほど喋ってしまい恐縮だった。カラオケスナックによくいる音楽解説厄介ジジイにつかまったときみたいな空気になってなかっただろうか。まあいいや、オタクってそんなもんだろう。

 

 

BTSのファンには、「彼らがくれる大きな愛やメッセージによって救われた」という人がほんとに多い。届いたお便りを見ていても、みんなめっちゃ人生変えられてんな~~~良いことだな~~~~と思う。

 

■これはあくまで私の感覚なんだけど、ビートルズが世界的アイドルだった時期の曲からは、そういう人を救うような啓蒙的メッセージはほとんど感じない。今でこそ、ジョンレノンは「イマジンの人」みたいな平和運動家のイメージがあると思うけど、それは晩年に近い時期の話だ。デビュー当時のビートルズは、レコード会社の売り出し方がそうだったというのもあって、イケイケのアイドルをやることが仕事だったし、彼らも全力でそれに応えていた。

 

ビートルズが歌っていたのは基本的に「キミとボクが恋に落ちてラララ〜」系のラブソングだ。デビューアルバムなんてまさにコッパズ歌詞(聴いてて小っ恥ずかしくなるようなクサい歌詞)のオンパレードである。

 

■聞く?聞く?言ってい?言うよ?心の準備してね?

 

 

【コッパズ例①】

 

ねえ、秘密を知りたくない?

だれにも言わないと約束できる?

じゃあそばにきて

 

耳もとで囁くから

 

君が聞きたかった言葉を言うから

 

僕は、君に、

 

恋してるんだ

 

ウウウ~~ウ~~ウ~~♪

 

 

 

アーーーーーーーーー!!!!!恥ずかしい恥ずかしい!!!!!!!!コッパズコッパズ!!!!!!!!!!!!20コッパズ!!!!!!!!

 

 

■ご機嫌にウウウ~~ウ~~ウ~~~言うてる場合じゃないのだ。Listen♪じゃねえんよ、聴かすな。注目を集めてから話し出すな。せめて堂々と言わずギリギリで言え。もうちょい恥じらえ。

 

■どうしよう、ノッてきてしまった。もう一発いっていい?あと一発だけ、いい?

 

 

【コッパズ例②】

 

なんで?って僕に聞いてみてごらん

 

僕は答えるんだ

 

君を

 

愛してるからだよ

 

ってね

 

ウ~ウウウ~♪

 

 

ヤーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!言わせるな!!!!なんで?ってわざわざ言わせるな!!!!!己のコッパズの為にこっちの労力使わせておいて苦し紛れのウ~ウウウ~!!!!!!有罪!!!!!30コッパズ!!!!!!!!!

 

 

■念のため言っておくけど、私は大好きなんですよこういうのが。いや~この素晴らしきコッパズ歌詞の世界。結局好きしか言ってないみたいなやつ最高ですよね。文化ですから、これは。

 

 

■デビューしてから解散するまでの8年のうち、初期はそんな感じだった。

 

■てかさ、そもそも8年しか活動してないんだもんな~~~冷静にすごくない??短期間で歴史塗りかえすぎ、偉業成し遂げすぎ。すご杉晋作。

 

ビートルズにまつわる記録は、基本的に全部すごすぎだから面白い。すごすぎエピソードをちょっと箇条書きにしてみると

 

 

【すごすぎ①】

・2枚目のシングルがいきなり全英1位!それを受けて急遽初めてのアルバムを作ることになったが、時間も予算もないので音楽スタジオを1日だけおさえて、ほぼ1発撮りで録音して10時間でアルバム完成させた。はや杉晋作。

 

・ジョンレノンはその日に限って風邪を引いてて、最後の曲になるともう喉ガラガラでまともに歌えなかった。ほとんど声が出てない様子をみて、プロデューサーが「逆にシブいがな~そういう声欲しかったよォ!」と一発OKしたのが名曲ツイストアンドシャウト。原曲よりビートルズのカバーのほうが有名かもしれない。

 

www.youtube.com

 

【すごすぎ②】

・彼らはシングルで一度出した曲をアルバムにもっかい入れるのって、ファンに2回金使わせててセコくね?と考えて、どんだけヒットした曲もアルバムには入れなかった。だからあんだけヒットした「シーラブズユー」「抱きしめたい」とかもシングルでしか出てない。バンタンでいうと、Butterもぴったんぬんむるもアルバムに入れないみたいな感じ。

 

・そもそも"アルバム全体にコンセプトをもたせる"という考え方も彼らが作った概念だ。ビートルズ以前は、アルバムはヒットした曲と新曲のただの寄せ集めだった。

 

・その分いっぱい曲作ればいいっしょ~!というのを世界中飛び回ってゲロ忙しいスケジュールをこなしながら続けていた。尋常じゃないペースで曲を書く。カムバに次ぐカムバ。新曲が1位になったと思ったら、それを蹴落とすのがまた次の新曲。年中ずっとカムバ。チャート上位はほぼビートルズの曲で埋まるという異常現象が起きた。彼らはまさにヒットが無限に湧き出る泉だったのだ。

 

【すごすぎ③】

・バンタンのファンがARMYならば、ビートルズのファンはビートルマニアと呼ばれていた(ダセェ~)。ビートルマニアの逸話は聞けば聞くほど狂ってて、ファンレターと一緒に自分の脱ぎたてパンツを郵送したとか、メンバーの乗った列車を突き止めて安全柵ブチ破って取り囲んだとか、奇行の数々は言い出したらキリがないんだけど、私が一番好きなエピソードは「コンサートの後、メンバーが歩いた部分の芝生をちぎって食べた」。これが優勝している。面白すぎるだろ。ヤギかよ。

 

・好きメーターが振り切ると、あり余った欲求が「狂い」の方向へむかうのは今も昔も同じだ。こないだのBTSのコンサートでも、ステージに花束を投げ込む人がいて危険だと騒がれていたけど、ビートルズも同じような目に逢っている。

 

・彼らがインタビューで「ゼリービーンズが好き」と発言した次の日から、ファンが客席から大量のゼリービーンズを投げ込むようになったのだ。弾丸のように降ってくるゼリービーンズは体に当たると激痛で、失明の危機を感じたメンバーがブチギレて、「もうゼリービーンズは嫌い!今はチョコクリームが好き!」と言ってこの文化は終わった。

 

・チョコクリームかわいい。

 

・それを考えると、ヤギはメンバーに直接迷惑かけてないだけマシかも。

 

******

 

■きっと今、BTSが第二のビートルズといわれるのは、世界中にいるファンの熱狂ぶりや、社会現象になるほどのあの興奮を思い起こさせるからだと思う。

 

■でも「第二のビートルズ」という言葉を目にするたびに、正直私は「そうかなあ?」と思っていた。どっちが凄いとか売れてるとかの話じゃなくて、ビートルズにはもっとヤンチャなイメージがあったからだ。先述したように、初期の頃の曲には高尚なメッセージ性はなかったし、BTSのようにメンバーのひとりひとりの人間性を尊敬したり、ロールモデルとするような影響の受け方とは少し違う気がした。ビートルズはドラッグめちゃめちゃやってたし、女遊びもドチャクソだったし、報道陣のインタビューにも全然真面目に答えずジョークばっかり言ってたからだ。

 

■コンサート中に「貧乏な人は拍手、お金持ちの人は宝石をジャラジャラ鳴らしてください」と煽ったり、駐米大使館に招かれたとき挨拶をしてきた大使に向かって「ところでキミ誰?」と言い放ったり、もし今同じことやったらコンプラ警察に叩かれまくってるかもしれない。

 

■ナムのように国連のスピーチの場に立たされたら、「国連事務総長に敬意を表します、スーツのセンス以外は」とか言ってたんじゃないだろうか。(そんなヤバい人いたら私は絶対好きになるけど)

 

 

BTSの提唱するLoveMyselfの精神にふれたとき、私は「現代社会で生きる人」の苦しみにフィットする考え方だから売れたのだろう、と思った。仕事や人間関係の悩み、さまざまな生きづらさを感じている現代人に優しく寄り添うテーマだから、多くの人の共感を呼んだのだと。

 

■でも、いろんな音楽を聴いているうちに、LoveMyselfはもっともっと原始的な考え方だと気付いた。このテーマは現代社会の人々だけでなく、ひいては音楽という文化全体の根底に、言い方や形を変えながらずっと流れ続けているものだ。

 

■自分を愛するということは、自分が自分であることを認め、誇りを持つこと。60年前の人達も、心の底で求めていたものは同じだったんじゃないだろうか。

 

 

ビートルズが全米No.1になったのは、ケネディ大統領暗殺事件の翌年、1964年だった。人種差別がゴリッッッッゴリに当たり前の時代。政治的リーダーの死はアメリカ全土に暗い影を落とした。黒人は公共施設もトイレも何もかも別にされ、家族を理不尽に殺されても法によって正当化された。街には貧困と暴力が溢れ、人間が人間として生きる、それだけのことができない人が無数にいた。

 

■混乱の時代を生きた人々にとって、夢中になれるものの存在はどんなに尊かったことだろう。

 

■その年のビートルズの全米ツアー中にも、白人専用入り口と黒人専用入り口が分けられた会場があったそうだ。それを見た彼らは「黒人がどこにでも座ることが許されない限り、僕らは出演しない」という声明を出した。莫大な収入を見込んでいた主催側は、白人の観客が離れることを恐れて説得にかかったが、彼らはつっぱねた。白人のスターである彼らが、差別はばかげているとハッキリ言い切ったのだ。

 

■歌われるのは、キャッチーなラブソング。可愛いあの子を思う初々しい恋の気持ちだったり、振り向いて欲しい、一緒に踊りたいと歌う曲。でもそれだけはない。彼らが作る空間にはもっと大きな意味があった。その日は観客にとって初めてとなる人種の隔たりのないコンサートだった。

 

 

■人々が暗い憂鬱に沈んだとき、気の晴れる何かを必死に探しているとき、音楽によって一筋の光がさすことがある。

 

■それはコロナがやってきたときのBTSにも共通している気がしてならない。あの状況下で彼らが選んだのはDynamiteという楽曲だった。啓蒙的メッセージをも取っ払った、ただ明るくハッピーな曲を、彼らは次のカードとして切ったのだ。その眩しさは瞬く間に世界を包み込んだ。

 

■音楽を楽しむ心は、人間を人間にしてくれる。何かを好きという気持ちは、生きることをやめない理由になる。

 

 

ビートルズはとにかく新しかった。「アイドルは誰かが作った歌を歌わされる」のが常識だった時代に、ほとんどの楽曲を自分たちで作詞作曲した。革ジャンにリーゼントというスタイルが定番だったロックンロールを、マッシュルームカットに小綺麗な細身のスーツ姿で歌った。労働階級出身のハタチそこそこの4人の青年が纏う空気は、何もかもが最高にチャーミングで斬新だった。

 

■彼らは新しすぎて、アイドルという枠におさまらなくなった。1966年のツアーを最後に、コンサート活動をやめて楽曲制作のみに専念するようになった。この頃から「キミとボクがラララ」系の曲がなくなり、自身のアイデンティティを問うものや、内向的な歌詞、社会風刺のメッセージを含むものに変わっていった。

 

■1967年、世界初の試みとなる通信衛星を使った24ヶ国放送の番組で、彼らは「All you need is love(愛こそはすべて)」を歌った。世界に必要なのは愛だった。人を愛すること、自分を愛すること。今も昔も、人間が本能的に求めるのは愛だった。

 

 

■どんなに録音技術が発達し、流行り廃りをくりかえしても、音楽の根底には愛と自己表現が流れている。人々が心を動かされるのはきっとそこに訴えかける何かを感じだときだ。

 

■私はビートルズに出会って、音楽を好きになった。何かを好きでいることが自己愛につながることを知った。今書いているブログのように、私は「好きなもの」について話すのが好きだ。そんな自己表現の土壌を作ってくれたのは紛れもなく彼らなのだ。

 

■あの頃彼らに夢中だった女の子たちが、白黒映像の中で涙を流しながら絶叫するたくさんのファンたちが、ビートルズからどんなものをもらっていたのか、今は想像することしかできない。バンタンに出会った私たちのように、それぞれの形で人生を変えられていたのかもしれない。きっと出会いの分だけストーリーがあって、SNSもなく記録にも残っていない無量大数のエピソードがそこにあるはずだ。

 

 

■私にとって、BTSビートルズのセールス記録の比較はどうでもいいし、及ぶとか及ばないとかはどっちでもいい。そんなのは主観だし、決定づける必要もないからだ。ある人にとってはビートルズは最高だし、ある人にとってはBTSが最高だし、私にとってはどっちも最高。い・じょう!なのだ。

 

■好きなものを話すことが、私にとって最高のLove Myselfだ。

 

■ナムはこう言ってくれた。

 

 

「あなたが何にワクワクして、何に心が高鳴るのか。あなたのストーリーを聞かせてください」

 

 ■ワクワクする気持ち、心ときめくもの。それを自分のストーリーとして語りながら生きていく。私はそんな人生がいい。誰だって自分語りしまくればいい。たくさん聴きたいし、たくさん発信したい。

 

 

■うわ~~~~~ほらほらほら、ここまでで5545字。好きなことについて話しだすとやっぱりこうなる。ナムさーん!!私めちゃくちゃ自分のこと話してるー!!褒めてー!!!!

 

 

■じゃあ最後にもうひとつだけ、ビートルズのインタビュー語録で好きなやつを置いときます。

 

 

Q. クリスマスプレゼントに何が欲しいですか?

 

 

A. 同じようなことばっか聞いてくるインタビューに答えてくれるオウムが欲しいです

 

 

 

■ラジオの感想・お便りなどはマシュマロで募集してます↓

 

marshmallow-qa.com

 

 

お先に失礼します。