直帰

ミンユンギとごはんたべたい

【マガジン開始記念!】「文章を書くこと」について”直帰”を紐解くロングインタビュー(前編)

 

みなさ~~~~~ん!!!直帰です。

この度わたくし、人生初のインタビューを受けまして、それが記事になりました。

こっぱずかし〜な気持ちもありますが、このブログで公開したいと思います。

以下、書いていただいた記事です。レツゴ~~~~  By直帰

 

 

【マガジン開始記念!】「文章を書くこと」について”直帰”を紐解くロングインタビュー(前編)

「ご飯たべた?」ってミン・ユンギに聞かれたい関西在住のOL、直帰さん。そんな彼女がスタートした定期購読マガジン『直帰の日記』を記念して、ロングインタビューを敢行!前半の今回は、意外な子ども時代、文章を書く上で大事にしていること、ユーミンから受けた影響など、彼女はどのように“書くこと”と向き合っているのか。“直帰”を紐解くインタビューをたっぷりとお届けします。(インタビュー・記事:きいろ)

 

 

■その課題で、私はいつも日記を書いていた

 

――直帰さんはどんな子どもでしたか?

直帰:子どもの頃はめちゃめちゃ人見知りでした。友達のことを名前やあだ名で呼ぶことが恥ずかしくて、「なあなあ」って話しかけるような。でも、今となっては勝手にあだ名をつけたり、話しかけまくるから、自分でもえらい変わりようやなって思うし、親にも驚かれます(笑)。それも中学校で部活を始めて、劇的に変わったんです。

 

――部活は何をされていたんですか?

直帰:吹奏楽部に入ってマーチングをやっていました。だいぶ体育会寄りの部活で、上下関係バチバチやし、先輩に会ったらどこにおっても挨拶しなきゃいけないみたいな。顧問の先生もめっちゃ厳しくて、そこで団体行動や敬語を叩き込まれました。人見知りは、その部活でめちゃくちゃ変わりましたね。声を出さざるを得ないし、話しかけざるを得ない。それに、マーチングのリーダーみたいなこともやっていたから、練習のメニューを組んだり、指示出しをする中で、強制的にそういう力がついたところはあります。そのおかげで、人前に出て喋ることが意外と楽しいと思えたかも。

 

でも、部活ですべてが変わったというよりも、きっと小学校の頃から、そういう気持ちの種は自分の中にあったんやろうなとも思います。というのも、人と違うことするのが好きでした。例えば、図画工作の授業で周りの子と違うものを作ったり、みんなが書きそうなこととちょっと違うことを書いて「何それ?」って言われることが快感やったり。ちょっとひねくれてたかも(笑)。目立ちたかったんやろうなあ。

 

――ちなみに吹奏楽部では何の楽器をされていたんですか?

直帰:トロンボーンです。それぞれの楽器に難しい点はあるけど、トロンボーンって決まったボタンがなくて、管をスライドさせて音の調整をするから、寸分違わず同じポジションってできなくて、口の形や音感で毎回正しい音を出すっていう難しさがある。逆に、手動だからこそ調整が利くっていう良さもある。それがメリットであり、デメリットでもある楽器で、やっていて楽しかったですね。

 

――では、直帰さんが文章を書くことに興味を持ったきっかけはなんですか?

直帰:子どもの頃は本が好きでよく読んでいたんですが、初めて衝撃を受けたのはハリーポッターかなあ。一巻は十回以上読んだと思います(笑)。ただ、どハマりしたきっかけは映画を観たからですね。あの世界観にどれだけ憧れたか。一番ハマっていたのは小学校5年生ぐらい。ちょうど劇中に出てくる魔法学校に入学できる年齢なんですよね。ホグワーツから入学許可証が届くのをずっと待っていました(笑)。

 

文章を書くことでいうと、小学校6年生の時に、「連絡帳のフリースペースに、自分なりの課題を決めて、その取り組んだことを書いて提出してね」っていう担任の先生がいたんです。課題は計算ドリルでも漢字や英語の練習でもなんでもよかったんやけど、自分で決めるのってすごくだるい(笑)。毎回「今日、何しよう?」ってなるなら、決まっていたほうが楽じゃないですか。だから、その課題で私はいつも日記を書くことにしていたんです。「親にこれを買ってもらった」とか「ピアノの練習に行った」みたいなことを書いていて、それが全然苦通じゃなかった。その時から自分はこの書き方が一番やりやすいなって思っていたかも。

 

――なるほど。今、直帰さんが書かれている“日記”に繋がるのかもしれないですね。

直帰:そうですね。逆に、テーマや枚数が決まっている読書感想文とかはあんまり好きじゃなくて、「それ思ってへんし」とか「感想ないし」って思うから(笑)。なんでも書いてよかったので、すらすらと書けていた気がします。一番最初に、書くことが楽しいと気づいたきっかけはそこかも。

 

ただ、何か基盤みたいなものがあったからこそ書けていた気もします。そのくらいの歳なら、ある程度人格もできていたと思うので、何かにインスパイアされて書いていたんじゃないかな。……ああ、インターネットの登場かもしれないです。家にパソコンがやってきて、インターネットをするようになって、“ファンサイト”というものの存在を知って、作品の感想とか考察をよく見ていました。「あなたは何人目の魔法使い」みたいなキリ番がある個人運営のサイトが当時すごく流行っていたんですよね(笑)。そこで私は「こんな面白い世界があるのね!」って、それまではYahoo!きっずしか知らんかったから(笑)。ハリーポッターのこの部分が面白かったみたいな感想を読んで、「めっちゃ面白い!」と思ったことは結構大きいかも。だから私、インターネットで文章書くのが一番楽なんやわ。

 

――ハリーポッターがここでまた出てくるとは(笑)。話は逸れますが、たしか結構前にハリーポッターとバンタンを絡めたツイートもされていましたよね。

直帰:しました!(笑)。メンバーがハリーポッターの寮に入るとしたらどこっていうツイート。あれ、マジでスラスラ書いたもんね、寮の特徴とか、全部頭に入っているから(笑)。

 

でもハリーポッターは、「流行っているから」って親が買ってくれたものなので、今になって、さまざまなきっかけは親が与えてくれてたんやなって気づかされます。物心ついた時には絵本の読み聞かせもしてもらっていたんですけど、あれってめっちゃ意味あるなって思います。読み聞かせがなかったら、全然違う人生やったなって。子育てって、ほんまに子どもに影響あんのかいなみたいなことばかりやけど、我が身をもって証明できているというか。それで言うと母乳信仰はまったく信じてないです(笑)。私、母乳は生まれた時の一回しか飲んでなくて、粉ミルクで育ちました!でもしっかり納税者として育っているから大丈夫やんって(笑)。

 

 

■私の人生にはユーミン松任谷由実)がいる

松任谷由実 アルバム一覧

 

――続いて、直帰さんが書く上で大事にしている言葉は何かありますか?

直帰:書くことで心に残っているのは、憧れのWEBライターさんに言われた言葉です。その方に「毎日書くことって、どれぐらいの期間やったら続けられる?一ヶ月やったらできる?一週間ならできそう?」と聞かれて、「それやったら、できるかもしれないです」と答えたら、「それができないんやったら、向いてないから書かんほうがいい」と言われて、ドキッとしました。

 

――直帰さんが読者として出会った作品の中で、心に残っている言葉を教えてください。

直帰:私の人生にはユーミン松任谷由実)がいるから、ユーミンの歌詞ですね。他のアーティストの歌詞ではあんまり見たことがない行間の読ませ方というか。ユーミンって事実をそのままを書くんじゃなくて、その時に感じた匂いや天気から連想させる歌詞が多いんです。皆まで言わない美しさみたいな。ヒントや要素だけ置いておくから、あとはあなたの記憶と結びつけて、その世界を作って楽しんでねって感じが大好きです。

 

 

――そもそも、どういうきっかけで、ユーミンを好きになったんですか?

直帰:お母さんがユーミンの長年のファンなので、最初ユーミンはお母さんが好きなものという認識でした。お家でユーミンのレコードが流れていたり、「お母さん、今日ユーミンのコンサート行ってきたわ!」みたいな会話に出てくる存在。だから、あんまり自分からは聴いていなかったかな。

 

自分から聴くようになったのは、私が大学生になって就活していた頃ですね。その当時、移動中にめっちゃ聴いていた記憶があります。多分ユーミンの歌詞ってちょっと恋愛してからじゃないと、わからへんことが多い(笑)。すごく傷ついた経験とかあればあるほど、響き方が変わってきて、ユーミンが入ってくる。だからOLはイチコロって言われるんですよね。(笑)

 

――その当時聴いていたユーミンの曲で、衝撃を受けた歌詞って何か覚えていますか?

直帰:東京で就活していて、丸の内線の銀座かどこかで降りて、空いている時間にカフェに行こうと思って歩いている時、『DESTINY』という曲の歌詞になんとなく耳を傾けながら聴いていました。その曲の最後のサビの“どうしてなの 今日にかぎって 安いサンダルをはいてた”という歌詞が頭に入ってきて、「どういう話なんやろう」と思って最初から聴き直したんです。

 

その曲は、遊び人の男の人を好きになって、その男の人も私を好きって言っていたのに、結局遊びで、私のことなんて気にも止めずにどこかへ行ってしまった。だから、いつか絶対に見返そうと思って、いつその人にたまたま会ってもいいように、毎日綺麗に着飾っていた女の人の歌なんです。いつも綺麗な格好していたのに、本当に偶然会えた日に限ってサンダルはいいやつじゃなかったっていう。“どうしてなの 今日にかぎって 安いサンダルをはいてた”というワンフレーズの言葉だけで、「どういうこと?」と思わせたり、その先のストーリーを想像させるのがとても上手いと思いました。すごく記憶に残っている曲です。

 

今、私が解説したストーリーって、この歌詞に一言一句書いているわけじゃないんです。でも私はそれを語ることができる。それって、ユーミンが私の中にそのストーリーを作ってくれているということ。それがすごく気持ちいいんですよね。

 

――直帰さんがおっしゃっていた「行間を読ませる」、「皆まで言わない美しさ」っていうのはそういうことなんですね。

直帰:あと、もう一曲あって……。私は、例えば1000字の文章があったとして、朝起きて夜寝るまでの出来事を時系列で羅列する文章より、朝起きて朝ごはんを食べ終わるまでの1時間を1000字でつづっているような文章が好きなんです。その瞬間じゃなかったら書けないような具体性があって、それを読むだけで作者と一緒の目線になれるような疑似体験ができる文章。要は、“変なとこ具体的やな”みたいな(笑)。

 

それを感じるのがユーミンの『LAUNDRY-GATEの想い出』という曲。ランドリーゲートっていうのは在日米軍の立川基地のことなんです。ユーミンは八王子出身で、立川あたりでもよく遊んでいただろうから、実体験にもとづく曲なんだと思います。歌詞には、10代の頃の主人公にいろんなことを教えてくれた女の子が出てくるんですけど、その子は米軍基地で働くアメリカ人家族の子どもなのかな。歌詞を読み進めるにつれて、二人が仲良くしていたっていうことが分かるんだけど、最後にその子は故郷に帰ってしまう。そのお見送りに行く予定やったのに“見送る約束 寝すごした日には”っていきなり間奏明けに歌われて、「え、寝すごしちゃったん?」って、最後に会われへんかったんやなと知るんですよね。

 

LAUNDRY-GATEの想い出』って、主軸になる大きなストーリーがあって、そのストーリーの具体性を彩っていくように描かれている歌詞なんです。男の扱いを教えてくれたのはその子だったとか、ジミヘンのレコードを貸してくれたとか。その女の子は、ちょっとおませさんで、ひょっとしたら高飛車なところもあったんかなっていう、人物像まですごく想像できる。まるで経験していないと書けないような具体性のある書き方っていうのは、私はすごく影響を受けているなあと感じます。

 

――たしかに直帰さんのツイートや日記を見ていたら、短い文章のなかでも情景が浮かんだり、書かれていなくてもその関係性を連想してしまうことってすごく多いです。

直帰:例えば、“気になっている人とお茶を飲んで解散しました”っていう話よりも、“気になっている人とお茶に行ったら、冬なのにスターバックスのマンゴーフラペチーノを頼んで、「なんで寒いのにそれ頼むの?可愛いな」と思った”みたいな話のほうが読んでいる人も疑似体験できてキュンとするじゃないですか。そんなふうに、あえて固有名詞を出す表現とかがめっちゃ好きです。

 

――なるほど。お話を聞いていて、直帰さんがユーミンに影響を受けていることに納得しました。

直帰:私もルーツ的なものがわかっていくことが面白いです。

 

――もちろん日によって変わるとは思うんですが、これを読んでいる方におすすめしたいユーミンの曲は何ですか?

直帰:そうですね……。二曲あって、『さざ波』と『天気雨』です。今日も聴いていました。

 

『天気雨』はさっき話した具体性が使われている歌詞で、めちゃくちゃ可愛いんです。自分はサーフィンをやらないんだけど、クールなサーフボーイの気を引きたくて、一緒に海へ行って、わざとちょっとだけ素足を見せたら、ドキッとしてくれるかなと思いながら、サーフボーイの前を歩いたりする女の子の曲。“白いハウスをながめ 相模線にゆられて来た 茅ヶ崎までのあいだ あなただけを想っていた”、ここがすごく好き。

 

『さざ波』は、ざっくり言うと、終わってしまった恋を回想している曲です。この曲で、私が「ユーミン天才やな!」と思ったのは、“ひざに開いた短編集も 風がめくっていつの間にかエピローグ”っていう歌詞。このワンフレーズだけで、月日がパラパラパラって、風にめくられたページみたいに気づいたら過ぎていって、あなたとの恋もいつの間にか終わってしまっていたっていう内容が連想できる。この二曲が今のおすすめです。

 

 

 

後半につづく。

 

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直帰が書いたものまとめ↓

 

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このインタビューを書いた人:きいろ

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